パワーストーンイメージ

私と友人に再生の力を与えてくれたパワーストーンとしての溶岩

もう10年も前のことです。
私の親友のA子があるショックを受けたことで、引きこもってしまったのです。
私がA子に面会できたのは、彼女が引きこもってから1月も過ぎた頃でした。
最初の頃よりは持ち直していて、大丈夫と言っていたものの、彼女の顔から全く覇気は感じられませんでした。
彼女の部屋は薄暗く、同じ空間にいる私も気が滅入りそうでした。
その上、彼女が部屋の中で大切にしていたプランターの花もすっかり枯れていたのです。
せめて花が植わっていれば、少しは気分が晴れるのでは、そう思った私は、次の面会で彼女のプランターに花を植えました。
勿論当時の彼女では水やりも難しいと思い、水やりの頻度の少ないベゴニアを数種類植えました。
花と花の間には、溶岩の置き石をアクセントにしました。
後にこの石がA子にとってパワーストーンとなるとは、この時は考えもしませんでした。
その後もA子の症状は一進一退を繰り返していましたが、ある日のこと、これまでにない笑顔を取り戻したA子に出会えたのです。
部屋を訪ねた時、A子は彼女のプランターをうっとりとした表情で眺めていました。
よく見ると、溶岩の置き石の上に草が生えていて小さな蕾もつけています。
それは、かつてA子が面倒見ていたカスミソウ種が芽吹いたものだったのです。
溶岩のくぼみに土が溜まり、その土に小さな種が芽を出して、根を下ろしていたのです。
すっかり枯れてしまったと思ったカスミソウが生き返った、それも命を育むとは思えない石の上で、それを見た彼女の顔に再び光が差し始めたのです。
良かったね、良かったね、私と彼女は何度も喜びあいました。
カスミソウが芽吹いたのも、彼女が花の手入れを忘れなかった証です。
その後、A子は元気を取り戻し、元通りの生活ができるようになりました。
溶岩のような無味乾燥な石が、パワーストーンであると思う人はまずいないでしょう。
しかし、あの時の置き石は、A子を再生させてくれた立派なパワーストーンであると信じています。
自然界であっても、火山の噴火の後、溶岩で固められた大地は、命の芽生えることのない世界に思えますが、数年も経てば、底に樹木が育っているのですから。
あの時のプランターの置き石もA子に生きる力を与えてくれたことを今でも感謝しています。

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